たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

お寺さんと今日の母

山の日、祝日。
平日休みに祝日が重なると何となく損したような気分になる。。。

午後、山の日だが天侯が不安定で山行を諦めた兄とお寺さんへ出かけた。
強い日差しの中、二人で汗だくになりながら草や落ち葉を取り、墓石を磨く。
新品ぴかぴかだったお墓が少しずつ風格を備え始めていて、日々を重ねていく充実と、父が亡くなってどんどん月日が過ぎ、父が遠くなってしまうような複雑な気持ちになる。
お花を活け、線香の煙に燻されながら手を合わせた。

片付けをしてからお寺さんへ上がる。
先代のご住職が玄関に座ってらした。
順番が来るまでエアコンの効いた涼しい室内で待つ。

お盆に棚経をして頂くのをやめ、本堂でお経をあげて頂くのだ。

去年まではコロナ禍でお墓参りをするだけだったのが、今年から変わった。
家に来てお経をあげて頂く棚経と、11か12日の都合の良い時間に来て本堂で行うのと選べたので、お寺さんを選んだ。

良い声で丁寧にお経をあげてくださるご住職の背中ごしに立派な本堂を眺めた。
清々しい空間。

 

終わって、その足で母の居る施設へ行った。
今日は面会日。

お寺さんで予想外に時間がかかり遅れてしまった。
施設には連絡を入れ了承してもらっていたので、安心して遅れて行く。

今日は珍しくぱっちりと目を開けていた。

あぁ、こんな日にお孫ちゃん(母にとってはひ孫)たちが居れば!

目は開いているがちゃんと見えているのかな。
先週会った時は白内障がかなり進んでいるように見えたけど、今日の瞳は黒く見える。

兄が耳元で話しかけると、顔を傾け、視線が追った。
わたしの声には反応が薄い。
少し低くして話したら大きな声で返事をして頷いてくれた。

モスキート音が若者にしか聞こえないように、高い声じゃなくて低い声の方が聞こえるのかもね、と兄と笑い合う。

花火の話や、夏休みになると家族で伊豆旅行に連れて行ってくれたことなどを話す。

伊豆の旅行話の反応がとても良かった。
やはり昔話の方が思い出しやすいんだろうな。

父も生きていて、母も元気だった頃。
専業主婦が当たり前だった時代、教員を続けていた母は、近所の口さがない人に「そんなにお金が大事なの?」と悪口を言われたそうだ。

夏休みといっても、教師もまるまる休めるわけじゃない。

毎年の夏休みの旅行でも、車を運転する父の予定を軸にしていたので、仕事があった母が後から電車で駆けつけたり、先に電車で帰ってしまうこともあった。

大変だったと思う、苦労も多かったと思う。

でも楽しかったよ。

母は、うん、そうだねぇ〜と大きな声で答えてくれた。

 

20分の面会時間、半分を過ぎたあたりで目を閉じてしまった。
わたしたちを待っている間はずっと目を開けていたそうだから、きっと疲れてしまったんだろう。終わる頃には寝ているように見えた。

じゃあね、また来るね。
また、来週ね!

眠ったように見えた母が、あぁ、と返事をしてくれた。