たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

恋文

長期療養型病院に入院中である母の衣類を整理し始めている、この春。
母の嫁入り道具の桐箪笥に手をつけた。
昭和の遺物?が続々と登場する。桐の小箱に入った縮緬の風呂敷や扇子、ハクキンカイロ。布の表紙のアルバム。レトロなパッケージのストッキングなどなど。

小引き出しの一つには日常使いだったらしい風呂敷がぎっしり詰まっていた。使い古され、汚れが目立つものが多かったので、一枚一枚確かめながら出していくと、引き出しのそこから封筒が出て来た。

開けてみたら、何かの書き付けで、便箋や原稿用紙、仕事で使っていたらしい用箋にしたためられていた。万年筆で書かれたらしく、インクがかなり薄くなって読みにくい。

何となく文字を追ってみたら、それはどうやら恋文なのであった。

両親は職場で出会い、お付き合いが始まったと聞いたことがある。
手紙は5通あって、4通が母から父へもので、1通が父から母宛だった。

母は流れるような優しい文字で想いを綴っていて、父の特徴的な文字を途中まで目で追って、読むのを止めた。
見つけて、恋文だと分かった時、兄にも見せてあげようと思ったのだが、それも止めた。

母と父の二人の世界に土足でズカズカ入り込んでいるような気分になったからだ。
子であるわたしでも、触れてはいけない、触れない方が良い、神聖なもののように感じたのです。

手紙は入っていた封筒に入れ、さらに風呂敷に包み、燃やせるゴミの日に出した。
ゴミじゃないんだけどね、家でお焚き上げした方が良かったのかな。でも昭和の時代ならともかく、今は通報されかねないし。。

恋文は、母と父と、わたしだけの秘密。
二人も、まさか何十年も経って娘に見られるとは思わなかっただろう。

人の想いは時空を越えて在り続けるのだろうな。

本人達でさえ忘れているような想いが、実は陰ながらわたしや兄や、家族を支えてくれているんだと思う。

 

 

 

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