たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

目隠しをする

ご近所さんは、それこそ生まれた時からのお付き合いで、怪しい人や嫌な人もいない、快適な実家暮らし。
それでも最近、これはわたしが迂闊だったとしか言いようがないのだが、気になることが出てきた。

わたしの自室の目の前に、庭を隔ててお隣の離れが建っている。
お隣は70代のAさん一人暮らし、この辺りの地主さんの一人で、広い敷地には蔵が建っていたり、Aさんが手入れできる程度の畑があったり、普段は静かだけれど、時々賑やかになるのは、不定期に親族が遊びに来ているからだ。

離れにはちょうどわたしの部屋の真前に窓がある。
けれどAさんが暮らしているのは立派な本家で、離れには誰も住んでいないし利用している様子もない。Aさんも、わたしの部屋が丸見えなのを知り、もともと使っていない離れだしと、窓を開けないようにしてくれていた。

はずなのだが。

先月のある日、いつものようにブラインドも閉めず窓を全開にして、人目を気にすることなく豪快に着替えをした。着替えて、ふっと視線をあげると、真前の離れの窓が開いていた。

いつから開いていたのか、わからない。
たぶん締め切りも良くないので風を通しに来たんだと思う。
その日は雨が降っていたので、絶対窓が開くことはないだろうと思っていたのだけど。

もしかしたら、豪快に着替えをしているのを見られてしまったのかもしれない。

窓は網戸になることなく、開けっ放しになっていたから、着替えを見てしまったAさんが慌ててその場を離れたのかもしれない。

どれも『かもしれない』推測で、ただの取り越し苦労ならいい。
でも開いた窓を見てしばらく固まってしまったわたし、直感は的を得ている気がする。

それからというもの、着替える時はブラインドを締め、見えないように気を使った。
あれから、離れに電気が着くことはあったが、窓が開くことはなかった。

それが昨日、自室の窓を開け放ち、夏を感じながら午後からの仕事の準備をしていると、何やら大きな物音がする。
どうやら離れの掃除をAさんが始めたようだ。
きっと窓も開くだろうと思ったが、ちょうどタオルケットを干していて、それが目隠しになっていた。だから気にせず窓全開の部屋で準備を続けた。

出かける時間になり、階下の窓を締めて回っている時、ふと離れの窓を見上げると、人影があった。

Aさんが離れの窓からわたしの部屋の方をじっと見つめていた。

怖い、と思った。

でもタオルケットが目隠しとなり、部屋の中は見通せない。
少し安心した。

音を立ててサッシを締め、違う部屋からもう一度見上げたら、人影はもうなかった。
すごく動揺している自分を感じながら仕事へ出かけた。

直感は当たっていたと思う。
あの日、やはり着替えを目撃してしまったのだ。見てしまったAさんは悪くない。わたしがあまりにも迂闊だったのだ。
こんなおばあさんの裸など、しぼんだ胸など見えても色気もへったくれもないだろうが、亡き父を思い出すと、70代80代になっても男性は「男」の「色」の部分は枯れず健在なのだと思う。

窓の前に立ち、薄暗がりからわたしの部屋をじっと見つめていたAさんの姿が脳裏から離れない。

目隠しをしよう。

去年までも夏は、暑さ避けに長いすだれをベランダに屋根のように張っていた。
でもすだれは、結構部屋の中が見えてしまう。
目隠しになる日除けシートを張ろう。
でもホームセンターに行っている時間はない。

帰宅し、タオルケットを取り込んでから、大きなインド綿の布を目隠しになるように掛けた。とりあえずの応急処置。
じゃないと、自室で安心して過ごせない。
いつ目の前の窓が開くか分からず暮らすなんて、ストレスフル過ぎる。

もとはといえば、わたしのうっかりが原因。
週末にはホームセンターに出かけよう。
シートを買うついでに、夏の花も買おうと思う。

 

 

 

 

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