たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

2月に読んだ本

今年の2月はあっという間に過ぎたように感じた。他の月より2・3日少ないだけでこんな気持ちになるものだろうか。立ち止まってキョロキョロしちゃうみたいな。

2月は仕事に関する学びの本が加わり、後半はそちらの世界が優位となったので、それほど読めなかったなと思ったけれど、ブクログで確認してみたら6冊読了出来ていました。

風神雷神 原田マハ

お探し物は図書室まで 青山美智子著

<あの絵>のまえで 原田マハ

巨匠によって描かれた一枚の絵が、何年もの時を経て、現在に生きる人々の生きる力になる。そんな6つの短編集。

登場する絵画と美術館は
♦︎ドービニーの庭 フィンセント・ファン・ゴッホひろしま美術館蔵)
♦︎鳥籠 パブロ・ピカソ大原美術館蔵)
♦︎砂糖壺、梨とテーブルクロス ポール・セザンヌ(ポーラ美術館蔵)
♦︎オイゲニア・プリマフェージの肖像 グスタフ・クリムト豊田市美術館蔵)
♦︎白馬の森 東山魁夷(加賀の県信濃美術館・東山魁夷館蔵)
♦︎睡蓮 クロード・モネ地中美術館蔵)

読み終わってだいぶん経ってしまい、細かい部分を色々忘れてしまっている。ほやほやのうちに箇条書きでもメモしておけば良かったと反省。
でもどの話も、読み終わった後に心に灯がともったように感じたし、豊かさが満ちていた。

印象に強く残っているのは<白馬の森>の『聖夜』と、<睡蓮>の『さざなみ』。

モネの<睡蓮>はポーラ美術館で鑑賞したことがあるが、是非とも地中美術館で観てみたい。わたしはどのように感じるのか、体験してみたい。

読み終わって本を閉じ、表紙を眺めていたら英語の副題が目に入った。
『A Piece of Your LIfe』
直訳すると、”あなたの人生の一部”
はぁ〜っなるほど!とため息が出た。

一枚の絵が秘めている力を想う。
その絵画の秘めたる力に触れられるような生き方をしたいと思った。

珈琲が呼ぶ 片岡義男

本猿(id:honzaru)さんの記事で片岡義男さんの『僕は珈琲』を知り、まずはこのシリーズ?の一冊めらしい『珈琲が呼ぶ』から読んでみた。

コーヒーを切り口とした、映画や音楽、漫画、小説、喫茶店にまつわるエッセイ集。

まず驚いたのは、片岡さんは学生時代からライターの仕事を始めて今に至るということ。そんな以前から書く仕事をしてたのか!片岡義男さんの作品には学生時代、角川文庫の小説で出会ったせいか、最初から小説家として世に出ていたのだと思い込んでいた。

ライターをしたいた時代には神保町界隈や都内の喫茶店をハシゴして執筆したという。神保町やお茶の水界隈は学生時代うろうろしたけれど、そういえば喫茶店に入ったことはなかったなぁ。。ずいぶんともったいないことをしたと思う。

Googleマップでエッセイに出てくる喫茶店を検索してみた。
今もあるその喫茶店たちは雰囲気があって素晴らしい。行ってみたい。喫茶店好きな人々にはきっと有名なんだろうな。
京都や都内に住む人が羨ましくなる。ちょっと足を伸ばせば歴史ある喫茶店に行けるなんていいなぁ。

我が街には喫茶店が少ない。タリーズやスタバ、星乃珈琲店コメダなんかはあるけれど、そういうカフェも良いけれど、この本に出てくるような喫茶店は近くにない。
散歩圏内にふらっと寄ってみたくなり、はしごしたくなるような喫茶店がある街に住みたくなった。

茶店で注文して飲む珈琲は『珈琲』だけど、例えばアメリカの広大な土地に佇むダイナーならカタカナで『コーヒー』って感じがする。インスタントも。

インスタントコーヒーも、珈琲じゃなくて、『インスタントコーヒー』という飲み物だ、と割り切ればなるほどそれはそれで飲める、という片岡さんの意見になるほどと思った。

久しぶりの片岡義男
シャープでドライな文章は健在で、それこそ丁寧に淹れた珈琲を味わうように読んだ。

高校時代に出会ってハマり、かなり影響を受けた作家だ。
いつの頃からか新刊を買うこともなくなってしまったのだが、今も変わらず書き続けていると知り、嬉しくなったし驚きもした。

巻末の著者プロフィールを見ると1939年生まれ。ということは今年84歳になられる!
シャープな文章と視点はますます磨かれているように感じた。

ムーミン谷の冬

冬になると読みたくなる本。
もうだいぶ前に買った文庫本で、バーコードさえ付いてない。見たら昭和55年に発行されたものだった。

冬は冬眠するムーミンが、ムーミントロールだけ目が覚めてしまい、初めて冬の世界を知る冒険物語。

始めて知る冬の世界にムーミンは戸惑い、馴染み深い春と夏ばかりに思いを馳せる。そこにない思い出ばかりに心を向けている。
対照的に、ちびのミイは『だけど、いまは冬ですよ』と冬そのものを楽しむ。
ムーミンの気持ちも分かるけれど、ミイのように今、この瞬間を楽しむ方が人生は豊かになるよね。

冬にしか生きられない奇妙な生き物たちの奇妙な生態や、凍てついた冬の世界の描写に不思議と心癒されるのは何故だろうな。

物語は、春が来て冬眠していたムーミンたちが目覚め、春を楽しむ場面で終わる。
なので、今年は冬も終わろうかと言う2月に読んでみた。
ちょうど暖かくなってきたタイミングで、わたしの心にも春の風が吹いた。