たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

『すいか』を楽しむ 夏がゆく

夏のおもいで

火曜日に二十四節気処暑』を迎えたとたん、何だかすっかり夏が萎んでしまったみたい。

うんざりするほどの暑さだったけれど、光の白さや強さ、歩いているだけで汗がダラダラ流れる感じが懐かしく思える。
喉元過ぎれば何とやら。

ゆく夏を惜しむように、Huluで『すいか』を観ている。
毎年の恒例行事で、7月半ばくらいから観始め、夏の歩みに合わせるように、擬似体験するように楽しんで、今年も終わりに近づいた。

『すいか』はもうずいぶん前…2006年に放映されたドラマで、強く印象に残るドラマだった。ハピネス三茶のあの佇まいや、家の中、教授や家主のゆかちゃんを初めに、個性的な登場人物、ゆかちゃんや絆のファッションもツボ。

小林聡美さんが出演する映画やドラマが好きで、Huluで見つけた時のお宝発見!みたいな気持ちったらなかった。

もたいまさこさんが『泥舟』というバーのママをやっていて、ほとんどセリフがないのだけど、それもまた楽しい。3億円横領犯がキョンキョン、彼女を追う刑事役で片桐はいりさん、家主のゆかちゃんを演じているのは市川実日子さんで、光石研さんも教授と派手な喧嘩するイチャモン男としてチラッと出てたりして、『かもめ食堂』『プール』『マザーウォーター』『めがね』などの作品でお馴染みの役者さんが勢揃い!それらの作品が大好きなわたしとしてはニヤニヤしてしまう。

登場人物でいっちばん好きなのは教授。

小林聡美さん演ずる信金のOL基子が、貯金0、所持金83円でその日暮らしをしているエロ漫画家の絆に驚いていると

教授「あなた、この世にそんな女がいるなんて信じられないって思いましたね、今。」
基子「はい…」
教授「それは違います。いろいろ居ていいんです。」
基子「・・・あたしみたいなもんも、居ていいんですかね?」
教授「居てよし!」

基子の目を真っ直ぐ見つめて断言するこの場面がとても好き。

あと、教授の元同僚で性転換をしてカルチャーセンターの講師をしているヤギタが教授と再会して語り合う場面もグッと来る。

ヤギタ「あたし、手術する前は、いろんなことがうまく行かないとね、自分が男だからだって思ってたんです。
男だから差別される。男だからまともに相手にしてもらえないんだって。
でも違ってました。
男、女、そんな問題じゃない。これ、僕自身の問題だった。
・・・
僕がゲイだから仲間はずれにされたんじゃない。
僕が、嫌なヤツだったから。」

「はぁ〜僕の人生、これで良かったのかな。。」

教授はヤギタの目を正面から見つめ、力強く言い放つ。
「もちろんよ、だって自分で決めた道じゃない?」

このセリフは100%だった。
励ますため、とか相手の心情を慮って、とかじゃなく。
だからググッと心を掴まれるんだと思う。

もう16年も前のドラマだけれど、今、こんなふうに言われたい人って沢山いるような気がする。

朝丘ルリ子さんてすごい女優さんなんだなって初めて思った。。
教授は、朝丘ルリ子さんじゃなくちゃダメだった。

もう16年も前のドラマだけれど、全然色褪せない。

ああ、あと1話で終わってしまうわ。。

今年も夏が逝く。

毎年毎年歳を重ねてはいくけれど、自分の芯というか本質は何ら変わらない。それが不思議だし、成長していない自分が情けなくもある。

でも、無事に去年と同じような秋が迎えられそうなことは奇跡なんだよなぁ。。

そんな、8月の終わり、涼しい朝の日。