たわむれ日記

たわむれに いろいろ書き散らします

11月の読書、一気読みの楽しみ

読書熱が高まったこの秋。11月集中して一気読み、その世界を堪能したのは髙田郁さんの『あきない世傳 金と銀』。

図書館の順番待ちの間を埋めるべく手に取ったら見事にハマった。
髙田郁さんは『みをつくし料理帖』以来で、『あきない世傳』は読むのを躊躇していた作品である。

どこだったか、『あきない世傳』は主人公に苦難が後から後から起き、悲惨な扱いをされたり意地悪な人が出てくるため読んでいて苦しい、という感想を目にしたからだ。

でも、”待ちに待った新刊が出た!楽しみしかない”みたいなツィートも目にした。

感想は人それぞれ。気になっているのなら読んじゃえばいい。
えいやっと飛び込んだら、ページを捲る手が止まらなかった。
幸い現在発刊されている12巻まで借りれたので一気に読んでしまった。

いやー堪能した。面白かった。

大阪は商いの街、と言われること、お笑いが盛んなのも納得。江戸時代は大阪じゃなく大坂なんだな。
商いには、大坂の言葉がしっくりくる。柔らかい。

大坂は商いの街だす。尖ったことも丸うに伝える。言いにくいことかて、笑いで包んで相手に渡す。そうやって日日を過ごすんだす

ー1巻 P128

うーん、なるほどー!見習いたい。

 

レビューにあったように、主人公の幸には一難去ってまた一難、もしやこの人に酷いことされちゃうんじゃ、この人がイビリ役か、なんて心配しながら読み進めたが、一人目と二人目の夫以外、手酷い仕打ちをする人は今のところ、いない。

この二人の夫の仕打ちたるや、それこそ息を詰めるように読んだが、幸を支える周りの人々に救われた。

江戸時代が舞台なので、男尊女卑や差別もある。

しかし幸は、知恵を絞り、ひとつひとつ乗り越えていく。1巻、また1巻と読み進めていくにつれ、この難局を今度はどんな知恵で幸は乗り越えていくんだろう、と楽しみになっていく。

『買うての幸せ、売っての幸い』を錨とし、『三方良し』で商いをするその姿勢に、見る目のある人々が引き寄せられ、思わぬ良い方向に物事が進んでいく。

主人公の幸はよく出来た人物で、こんな資質がわたしにもあったら…と想うこともしばしば。
9巻では、『美しいて、聡うて、商才も度胸もある』幸への妬み嫉みから、思わぬ人物が敵となってしまう。「敵」と書いたが幸は「敵」とは思ってない。「敵」に不運が訪れても『同情もせんかわりに溜飲を下げることもない』。

敵がどんなに足掻いても幸や五鈴屋に敵わないのは、同じ土俵に立ってないから。ステージが違うから届くわけがない。

自らの人生を想った。

この物語はまだ続く。13巻が12月7日に発売されるらしく、図書館に来るのが待ち遠しい。