前夜早めにベッドに入ったせいか、朝5時に目が覚めた。
快晴予報の日曜日の朝。
朝といっても、この時期午前5時は夜が優勢の闇。
それでもよく目を凝らしてみると、東の空の下の方からほんのり朝の気配がする。
早朝の、夜明け前のこの時間はとても好き。
窓を開けると、夜の湿り気を含んだ冷気がさーっと流れ込み、虫の音も聞こえる。
ひと頃の賑やかさに比べると、ちょっと寂しい合唱だ。
昨夜は久しぶりにオリオン座を見た。東の、低い空にあった。
湯が沸き、熱い番茶を淹れる。
ちびちびと啜りながら、明けゆく空を眺めた。
空には、三日月。筆でさっと書いたような。
その細さに、ああもうすぐ新月なんだなと思いつく。
番茶を飲むときの、熱い湯気が頬に心地よい季節になった。
少しずつ朝になっていく空。
明るくなるにつれ、月がどんどん細くなる。
その様子をぼんやりと追っていた。
空っぽになりながら。
秋晴れ、快晴となった日曜日。
人々の活動する気配が街を動かし始め、太陽の光が満ちる。
三日月は、空に溶けてしまったようだ。
目を凝らしてようやく見つけられるほどになってしまった。
けれど、日が高くなって、秋の日の眩しさを楽しむ時も
あの細い三日月は空にあるんだ。
見えなくても、そこにある。
知らなくても、そこにある。
そんなものがこの世界には満ち満ちている。
火曜日の今日は、新月を迎えた。
神無月の始まりだ。